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2017年5月 7日 (日)

最後(?!)の桜 ~新たな節目の春に~

5月連休も終わる頃に桜の話なんて、タイムリーではないけれど、

自分自身のために書いておきたいと思います。



私が独身時代働いていた職場(東大阪市療育センター)のことです。

1980年、施設創立の年に就職し、14年間働かせていただいた職場です。



結婚退職して、茨城に来てからも、毎年のように帰阪し、

同僚や職員OB、通園されている親子や卒園された親子とお会いし、

ご縁は途切れることなく続いてきました。



設立記念にと植樹した桜の苗木は、

風雨に耐えて、子どもたちや私たちを見守り続け、

毎春、満開の花を咲かせ、大きく育っていました。



ただ、退職後は、春に帰阪することが難しくなったため、

桜が咲くと、現職の同僚が写メールで送ってきてくれていました。



満開の桜の写真を見ながら、自分自身の1年を振り返り、

気持ち新たに、想いをこめて、新年度をスタートさせるというのが

毎年の春の日課のようになっていました。



そんないつものように迎える春を前に届いたのが、

療育センター移転のニュースでした。



今年、還暦を迎え、今も働き続けていたら定年退職を迎える春です。



移転と共に建物も取り壊されると聞き、4月8日に帰阪しました。



療育センターがある場所が、私の生まれ育った東大阪ということもありますが、

故郷というだけでなく、私の人生の原点とも言える財産がそこにあるからです。



就職当初未熟だった私は、年齢的にも経験的も先輩の同僚の人たちに

たくさんのことを教えていただきました。



当時通園されていたお母さんたちは、その殆どが年上の方でした。

子育ての経験もなく、ただただ遊ぶことが大好き…というだけの私でしたが、

みなさんに温かく受け入れてもらえていたことを今でも感謝しています。



療育センターは私のような保育士(児童指導員と呼ばれていました)だけでなく、

ドクターをはじめ、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、保健師等

多職種が働いている職場でした。



私が働いていた通園施設のクラスも看護師やPTやOTとチームを組んで担任し、

毎日の療育そのものが、それぞれの専門性を生かした「チームアプローチ」でした。



また、通園する子どもたちとその家族を支えるだけでなく、

地域で暮らしている障害児・者、保育や教育に関わる人たちを

支援するシステムも作られていました。



初代センター長だった中新井ドクター(故人)の

「専門性を日常に生かす」というメッセージは繰り返し語り続けられ、

「障害をもつすべての子どもたち・人々が、地域の中でごく当たり前に暮らしていけるよう、

その生活と健康を支える」という理念に基づく実践の日々でした。



異職種ゆえに専門性は違っていても、子どもたちに関わる時には、

専門性に特化した視点ではなく、

子どもたちの全体像や生活そのものを観る視点が重要視され、

常にそれを問われ続けました。



例えば、姿勢保持…という子どもたちの生活に深く関わるようなことも、

職種を超えてお互いに学び合い、それを遊びや生活の中でどう実現していくかを

みんなで喧々諤々話し合い、療育の中で進めてきました。



設立当時から長い間、姿勢保持という観点から子どもたちが座る椅子や運動遊具を

大工仕事のように作ってきた児童指導員さんたちもいました。



それもあり、誰が児童指導員で、誰が医療職か見分けがつかないようなところもありました。



日々のミーティングやカンファレンスでは専門用語も使われてはいましたが、

お母さんたちと子どもたちの話をする時には、

「専門用語を使わず、誰にでもわかることばで話す」ということも

とても大事にされてきました。



ドクターの「専門性を日常に生かす」というメッセージには、

そうした教えもこめられていたと私は捉えています。



元々、専門用語は苦手な私なので、あまり困ることはありませんでしたが、

「誰にでもわかることばで伝える」というのは難しいことでもあります。



長年こうした現場で働いていると

専門用語を使うことでわかった気になってしまったり、

実際にどういうことなのかという本質が見えなくなったりすることも多いように感じてきました。



療育の現場で初心者として働いた時期に、

本当の意味での「チームアプローチ」や

「地域の中でのごく当たり前の暮らしを支える」ということを理念だけでなく、

日々の実践の中で修行させていただけたことは

とても貴重なことだったと、あらためて思います。



それが今の私のライフスタイルの元になっていることを感じるたびに、

中新井ドクターはじめ、たくさんの人たちに出逢い、繋がってこられたことを

心から嬉しく思います。



振り返れば、たった14年間という短い期間でしたが、

本当に貴重な職場環境で働くことができて、恵まれていたと思います。



退職以来、初めて見る桜は、植樹から37年の年月を経て、大きく育っていました。



敷地内には入れないため、フェンス越しのお花見でしたが、

大きく育ち、咲き誇っている満開の桜にとても感動しました。




Photo  37年前に植樹した桜の木



Photo_4  37年前に植樹した桜の木


Photo_5  37年前に植樹した桜の木




今年の桜の木の下には、子どもたちの姿も声もありません。

それでも、私にはここで一緒に遊んだ時のことが鮮明に浮かびました。




遊ぶと言っても、遊ぶことが難しいと感じる子どもたちもいました。

遊びたくても遊べないという子どもたちもいました。

「うちの子には無理」「遊べない」とおっしゃるお母さんたちもいました。



そんな時には、子どもたちやお母さんたちが遊びやすい環境をつくろう、

いつでも一緒に遊べる人でいよう…それが私のスタンスでした。



ブランコに座れない子どもたちをどんなふうに工夫すれば座らせてあげることができるか、

泥んこ遊びをする時に、どんな工夫をすれば遊びやすい姿勢が保てるか…。



庭に当たり前のように存在している遊具と子どもたちをどう出逢わせてあげて、

お日さまや風や木や草や花の香りを感じさせてあげられるか…。

子どもたちとお母さんたちと私たちと一緒にどれだけたくさん笑い合えるか…。



子どもたちのために、お母さんたちのために…と言いながら、

実は、私自身が楽しむための療育をしてきた場所でもあります。



実際に、お母さんたちには「誰が一番楽しんでいるかわかれへんわ(^^)」と

よく言われていました^^;



「療育はみんなの笑顔と感動を生み出すこと」



「遊びを育てることが生きることに繋がる」



14年間の療育センターでの実践の基本はそこにありました。

14年間の年月の流れの中で紆余曲折あっても、そこはぶれることはありませんでした。

ぶれないでいられたことが、住んでいる場所や立場が変わっても、

一番大事なスタンスが変わらずに、今に繋がっているのだと思います。




次に帰阪する時は、私にとってこの大切な場所に療育センターの建物はなく、

桜の木もなくなっているのだろうと思います。

とても寂しく、悲しいです。



でも、ここで一緒に過ごした同僚や親子、

私が退職してからもずっと働き続けてきた同僚や通って来られた親子、

たくさんの職員さんたちを通じて、想いは消えることなく、引き継がれていくことでしょう。

そう考えると、新たな節目として、希望が持てるかなと思います。



お花見の後、職員OBの有志が集まりました。

何年ぶりかもわからないほど、久しぶりに再会した人たちもいます。

その殆どが定年退職者です。



私が白髪になっているように、見かけが少し変わっている人たちもいましたが、

想いを語り合う姿は、昔も今も変わりませんでした。



翌日は、泊めてもらった地元の友人に自転車を借りて、

かつての通勤コースを走り、また療育センターに行ってきました。


Photo_6  河内永和駅


Photo_7  総合福祉センター


Photo_8  鴨高田神社


Photo_9  療育センター正面玄関


Photo_10  療育センターの看板

Photo_11  療育センター設立の碑




Photo_12  

          療育地蔵(中新井ドクター没後に建立されたお地蔵さま)


Photo_13  

           首に聴診器がかけられ、左手にハンマーを持たれているお地蔵さま






生まれ育った東大阪は、私が住んでいた頃とは、

道も風景もお店も…街の姿はすっかり変わってしまいましたが、

毎年訪れる私を迎え入れてくれる空気感は全く変わりません。



それが、私の大好きな東大阪なのです。



ありがとう!

そして、これからもよろしく!

遠くから私を見守り、支えてください。



両親のこともあって、かなり迷って決めた帰阪でしたが、

帰阪して本当に良かったです(*^_^*)



私自身の大きな節目になる春になりました。



時々、振り返り、立ち止まり、そして、少しずつ前に向いて歩いていく…。

これからも、そんなふうに生き続けていきたいなぁと思います。

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