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2018年2月 2日 (金)

「ドロップス」との「ご縁のえん」~両親の導き~

1年近く前のことです。

昨年の2月18日に「kintaのブログ」を読みました。

★ドロップス活用例大募集★

http://magicaltoybox.org/kinta/2017/02/18/14570



「ドロップス」がいろいろな場で活用されていることは知っていましたが、

「視覚シンボルで楽々コミュニケーション」という本が生まれた経緯は知りませんでした。



「kintaのブログ」を読んで、人と人との繋がりっていいなぁと思いました。

そして、活用例が募集されているなら、私も応募しようと思いました。



両親との関わり合いの中で「ドロップス」のシンボルを「絵カード」にして

日常的にいろいろ活用させていただいてきたからです。



コミュニケーションは双方向(2016年6月27日)

http://yamaneko-kousakusitu.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-ae39.html



「ドロップス」を両親とのコミュニケーションに使っているという現状と

介護の中で役立てられていることが嬉しくて、お礼の気持ちで応募しました。



「ドロップス」に限らず、両親を通して知ることになった介護現場では、

「視覚的な支援」が浸透していないことを知り、残念だなと思っていました。

(両親が入居していた住宅がたまたまそうだっただけかも知れませんが…)



一方、ほぼ毎日、両親が暮らす住宅に通い続けたことで、

介護現場の人手不足やシビアな実情もリアルに見えていました。



そんな介護現場の実情から、

「視覚的な支援」などが「役立つもの」であっても、

「絵カード」なども使い慣れていらっしゃらない職員さんたちに

一方的にお願いすると負担になるだろうことも感じていたので、

両親が必要な時に私が使い続けていました。



両親と私の日常の「視覚的な支援」や「絵カード」の活用を見て、

職員さんたちがその有効性を感じて取っていってくださったことはとても嬉しいことでした。



職員さんたちが真似て使ってくださったり、工夫してくださったりして、

少しずつ広がっていったことも嬉しかったです。


また「視覚的な支援」が両親と私のコミュニケーションだけでなく、

職員さんたちにも役立っていたことは新鮮でした。



両親が暮らした住宅は職員さんが短時間勤務体制にもなっているので、

一日の中でも職員さんたちの入れ替わりが多いこともあり、

職員さんたちが伝え合う引継ぎ事項も多く、情報が錯綜するようでした。



そんな実情でもあったせいか、

私がお願いしたり、職員さんから伝達されたりすることを

「写真」や「掲示物」として作り、両親の居室に貼り出していたので、

「三郎さんとみよさんに関することは、居室に行けばわかる」とよく言われていました。



「簡潔明瞭」「一目瞭然」な「視覚的な支援」はやっぱり誰にとっても有効なんだ…

そう実感すると、工作好きの私のモチベーションはますます上がっていきました(*^^*)



私にとって、「掲示物」などを誰が作るかは問題ではなく、

「必要とする時に、すぐ作る」

「修正が必要な時には、すぐ修正する」

「不要な時には、すぐ撤収する」…というように、

両親の実情に合わせた対応が重要でした。



わかるように書いて掲示したつもりでも、伝わっていないと感じる時は、

「わかりにくいんだ」「まだまだ私の力不足なんだ」ととらえ、修正し、作り直してきました。



自分本位で作ったり、使ったりしていると気づかないこともあるので、

両親の言動や認識のしかたを細かく観ることをより重視してきました。



両親の動線、視線はもちろん、職員さんたちの動線、視線も観て、

誰にとっても「見えやすい」「使いやすい」ような工夫もしました。



特に怪我や事故に繋がり兼ねない注意喚起の掲示は迅速さも必要でした。

また、掲示場所(高さや位置)や掲示物の大きさも重要な視点でした。



両親がベッドでの臥床中に見るものは、私自身が実際にベッドに寝てみて、

高さや位置を確認し、必要に応じて微調整もしました。



実際に使っていく中で、私の思考もどんどん柔軟になり、発想も豊かになり、

新たな工夫や配慮ができるようになることを実感していきました。



そうするとアイディアもどんどん浮かんでくるので、作業する時間もあまりかかりません。

私にとっては支援のためというより、「自分自身の楽しみ」として定着していきました。

「気づきや学び」を楽しみと感じられることが嬉しかったので、

こういう作業もまったく苦にはなりませんでした。



「ドロップスをご両親とのコミュニケーションに使う時、抵抗なかった?」と聞いた

友人がいました。

「ドロップス」は特別支援学校の先生たちが作られたものですし、

学校関連の絵が圧倒的に多いので、そんな問いかけも不思議ではありません。

いろいろな動作や活動に描かれている顔は「男の子」や「女の子」なので、

私も使い始める頃、両親と使うには少し子どもっぽいかなとは思いました。



でも、「ドロップス」の存在を知らなかった友人のOTが「男の子」の絵を見て

「おじいさん」と言い、「お父さんに似たイラストをよく見つけたね」と言ってくれたのが新鮮で、

先入観で見てしまうのはいけないなと気づかされました。



職員さんたちや他の事業所から訪問してくださる担当者の方たちにも

「絵がとてもシンプルで、わかりやすくて良いね」と言われました。

他の訪問先の方たちとのコミュニケーションに悩まれていることもあり、

「こうした『良いもの』の存在を知り、使っていくことで、

高齢者の方たちの現場でも広がっていくと良いね」とも言われました。



両親とのコミュニケーションに役立てばと思って使い始めたものが、

職員さんたちや関係者の方たちとのコミュニケーションにも役立つことがわかり、

「ドロップス」が「絵カード」の素材というだけでなく、

生活の中で息づいていったことは本当に嬉しいことでした。



昨年の7月2日に父が亡くなり、10月2日に母が亡くなりました。

12月のブログの中にも書いていますが、

母とは亡くなる日まで「絵カード」を使っていました。



両親を見送って想う ~「自分らしく生きる」ということ~(2017年12月30日)
http://yamaneko-kousakusitu.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/post-c2fa.html




母が亡くなった直後に「ありがとう」と書いた「気持ち」の絵カードを母の枕元に置きました。

最後のお別れにきてくださる方たちに向けて、

母が伝えたい気持ちを「ありがとうの絵カード」に託しました。

Photo_5   ありがとうの絵カード



納棺の時には、私たちみんなの気持ちをこめて、「ありがとうの絵カード」を入れました。



母を見送る時にも「絵カード」をこんなふうに使えたのも、

「絵カード」が私たちにとって「生活の一部」になっていたからです。



あらためて振り返ってみると、

両親と私にとって「絵カード」や「視覚的な支援」は

支援ツールというより「あたりまえの日常」になっていたのです。



両親が続けて他界し、いろいろな雑務に追われ、

応募していたことすらすっかり忘れていた時に、

出版社(七七舎)から両親との活用例が掲載されるという連絡が入りました。



とても驚きましたが、連絡があったのが偶然にも11月2日、

両親のいわゆる「月命日」だったこともあり、両親の供養になると思いました。



「視覚シンボルで楽々コミュニケーション おかわり2」に掲載していただきました。

Photo_3   

   「視覚シンボルで楽々コミュニケーション おかわり2」


https://www.space96.com/php/user/item_detail.php?store_id=space96&flow_id=joyVrI&from_page_id=keyword_list74991100&youto_kbn=1&andor=and&item_cd=s17111403



両親がお世話になった住宅の職員さんに報告すると、

「三郎さんとみよさんと過ごした日々を思い出しました」と言われました。



「ドロップス」とのご縁が両親と私だけではなく、

職員さんたちや他の方たちとも繋がっていたことをとても嬉しく思いました。



実は、「ドロップス」とのご縁にはまだ続きがあります。

七七舎の方から、また連絡が入りました。



七七舎は介護関連の雑誌(ブリコラージュ)も出版されています。

http://www.nanasha.net/brico/index.html



「ドロップス」を高齢者とのコミュニケーションに使うのは良いアイデアで、

介護現場でもこうしたコミュニケーションツールが広がるといいなという

担当者の方の強い想いがこめられた原稿依頼でした。



私自身、以前から同じことを考えていたこともあり、

原稿を書くことで両親だけでなく、

他の方たちに役立つことに繋がるなら嬉しいと思いました。



また、こうした機会を得て、書かせていただけるのなら、

お世話になった関係者の方たちへの感謝の気持ちを伝えられると思い、

お引き受けしました。


Photo_4   介護雑誌「ブリコラージュ」



教育・福祉・医療・介護など分野を分けず、

子ども・大人・高齢者など世代も問わず、障害の有無も問わず、

「必要な時」に「必要な支援」を受け合って、

「安心できる暮らしが叶う社会」にしていきたいという想いがあります。



そのためにも「良いもの」が浸透していくことはとても重要です。



私たちが日々の生活の中でやれることはささやかですが、

今回の「ご縁のえん」もそんな小さな一歩だと私は思っています。



今、毎日、両親の笑顔の写真をみるたび、

こうして書いて発信することも含めて、両親に導かれている気がします。



介護をしていた時より、違った意味で、両親を身近に感じる毎日です。



「ドロップス」の「ご縁のえん」は私にとって、

「両親の娘として生まれ、今を生きている幸せ」にも繋がる大切なものとなりました。



関係者のみなさまには感謝の気持ちでいっぱいです。



自分自身の老いや死を見すえて、最期までどう生きるかを考えてきた両親です。



父が父の生き方を全うし、母が母の生き方を全うして生きぬいたように、

いっぱい迷ったり、悩んだり、失敗したりしながらであっても、

私も私の生き方を全うできるように生きていけたらいいなぁと思います。



そのためにも、まだまだ修行は続きます。

もちろん、苦行ではなく、何事も楽しみながらです!(*^^*)!

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